NHK死後の世界はあるのか?からヒント「死んだらどうなるの?」と子供に聞かれたら☆
もうすぐお盆
先日、「お盆を英語で簡単に説明する」の記事で、京都五山の送り火にも触れ
亡くなったご先祖の魂をお迎えする日本の風習を紹介しました
「人は死んだ後、どうなるのか?」
「魂ってあるのか?」
そんな話題を口にしはしなくても、
日本では、お盆やお彼岸の風習に基づいて『亡くなった方の霊』というような言い方が当たり前の様に使われますね
子供に「人は死んだらどうなるの?」と聞かれたらどう答えますか?
これについての捉え方は、宗教、哲学、思想によって随分と違ってきますよね
アメリカのディスカバリーチャンネルが制作した
『モーガン・フリーマン 時空を超えて』というシリーズ
これまで、NHKEテレが何度か放送しています
今回、初めてその中の「死後の世界はあるのか?」を視てみました
「お盆にはご先祖の魂が帰ってくる」という風習に基づいた日本の伝統的考えと共に
世界には色んな研究者がいて、死後の世界や魂のことを研究していることや
色んな思想があるということも子供達に伝えたいものです
Eテレ「死後の世界はあるのか?」からヒントを得てみる
45分間の番組の内容を簡単にまとめてみました
人間の魂や意識は死後も存在し続けるのか?
時間・空間・生命 ~時空を超えて未知の世界を探求~
人は死ぬと、この世から消えてしまうのか、それとも何らかの形で生き続けるのか?
生物学者や物理学者、科学者、哲学者らが「死後の世界は存在するのか」という疑問の解明に挑んでいることを紹介
脳神経外科医:エベン・アレグザンダー
2008年、彼自身が細菌性髄膜炎に罹り、7日間こん睡状態に陥り蘇った
脳死に近い状態になった昏睡状態の彼が体験した世界について、
~みみずから見た世界を経験~
そして突然、美しい光景が開け、自分が蝶の羽の一部になっている
~蝶の群れはやがてこの世を離れ コアの世界(神のような宇宙のような)温かい愛の世界に辿りついた~ と表現している
殆どの臨死体験者に共通する「何か超越的なものが存在する」とエベン医師は感じている「自分の臨死体験を通じて、この世の外にも魂が素晴らしいかたちで存在できることを知った」と言う
しかし、神経科学の立場からこの体験を説明しようとするが、仮説を生み出すことは不可能だという結論に至った
バージニア大学医学部
精神科医:ブルース・グレイソン
これまでに1000件以上の臨死体験を調査してきた
多くの臨死経験者に共通する体験は「深い安らぎ、安堵感、肉体からの離脱、温かさと無条件の愛に溢れた眩しい光」であるが、多くの科学者は、これらの体験をニューロン(神経系を構成する細胞)に酸素が行き届かず脳に強いストレスがかかったために引き起こされた幻覚だとみている
それを証明するために、1970年代にアメリカ空軍で遠心器を使ってパイロットに大きな重力をかけ、血液が足に集まることで、脳の酸素を欠乏させ、参加者全員が気を失った状態を作りだし、意識を失っている間、どのような体験をするかという実験を行った
意識が戻った参加者達は「眩しい光を見た」「肉体を抜け出し、自分自身を上から見ていた」など臨死体験者と似た体験をしていた
しかし、『神聖なものとの出会いや、亡くなった親族との出会いを体験した者は一人も居なかった』
このことから、臨死状態と単に意識を失った状態が同じだとは考えられないと捉えられた
「臨死体験を科学的に説明しようとすると必ずぶち当たる壁がある」
「考えることが出来ないはずの脳が、なぜ複雑に思考し、それを記憶しているのか?という点を説明することは難しい」とブルース教授は考える
「臨死体験患者の証言をそのまま信じるなら、人間の意識や精神は肉体がなくても存在する」と主張する
果たして臨死体験とは最後の夢なのか?
死の先に何かがあることを示すものなのか?・・・
魂とは何なのかを科学的に解明する必要がある
魂とは空想の産物なのか?実在するものなのか?
死後の世界を科学的に解明しようとする場合、欠かせないもの、それは
「意識とは何か?」
どこから来て、どこへ行くのか?
アリゾナ大学
意識研究センター所長・麻酔科医:スチュワート・ハメロフ
麻酔をかけられた患者は、夢を見ない
意識を失い、自分がどれくらいの時間眠っていたのかもわからない
意識はないが、脳自体は活動しているのだが、何故この状態が生じるのか解明されていない
彼は、麻酔科医として患者と関わるうちに「脳の活動と意識との関係性を知りたい」と思うようになり、イギリスの物理学者のロジャー・ペンローズと共に研究を始める
二人は、脳の働きに関する新しい説を打ち出し「永遠の魂をめぐる科学的論争」を巻き起こした
ここからは、かなり専門的で難しい説明がされていました(頑張ってまとめてみますが、専門家ではないので、違っていたら教えてくださいね)
一般的に、脳はニューロンの集合体と考えられており、1つのニューロンが活動するとシナプスを経て次々と周りのニューロンが活動し、脳全体に信号が送られる
これを従来型コンピューターと言い、後をたどることが可能な回路を経て伝達されている
一方、量子論によると、何もない空間でも情報は伝わるとされ、あるマイクロチューブル(脳細胞の中にある管で細胞を一種のコンピューターとして機能させる働きをするもの)で起きた変化が離れた場所にある別のマイクロチューブルに影響を及ぼす可能性があると考えられている。
量子コンピューターでは、マイクロチューブルが分子レベルで情報を処理していると考えられるのだが、彼らは、それが量子コンピューターとして機能させる役割を持っていると考えている。
もしこの説が正しければ、マイクロチューブル内の情報が脳の外にある広大な空間とつながる可能性もある
量子情報はすべての空間、宇宙にも存在しており、あらゆる方向に情報が伝わるとされるのである
未知のプロセスとされる『量子もつれ』を経て、情報が伝達される。この『量子もつれ』は意識と深い関係があると考えられており、脳内の意識が『量子もつれ』によって、広く宇宙全体に存在する可能性もあると考え、
「人間の意識は、脳を構成するニューロンよりももっと基本的な脳の構成成分のようなものである」と彼らは考えている
また「原意識(プロトコンシャスネス)と定義したものは、ビッグバンの時から存在している」とも考えている
『量子もつれ』の理論を応用すると臨死体験の謎も解けるかもしれない
心臓が止まり、血液が流れなくなると、脳は量子コンピューターとして機能しなくなる
しかし、マイクロチューブル内に存在する量子情報は破壊されず、宇宙全体に散らばる
大動脈が止められ、脳に血液が流れていない臓器提供者の患者の脳のモニターでニューロンが爆発的に活動している現象を彼は何度も見ているのである
患者が息を吹き返すと、散らばった量子情報は再び脳に戻り「眩しい光を見た」「亡くなった家族に会った」「身体を抜け出して上から自身を見ていた」などという記憶となる
息を吹き返さなければ量子情報は肉体から離れたまま、魂として存在する可能性がある
量子情報が脳内と宇宙空間を行き来することが臨死体験だとハメロフは考える
「量子論に基づいて意識を捉えれば、わたし達がこの世に存在する意義や目的、死後の世界や生まれ変わりについても大筋説明できるであろう」と主張し「自分達の主張が少しずつ実証されてきており、今後も新たな証拠が自分達の説を後押ししてくれるはずだ」と自信を表す
しかし、「魂とは宇宙と繋がる量子コンピューターである」という説に、多くの科学者が懐疑的である
意識はどこから来てどこへ行くのか?
脳の活動パターンによって意識の謎に迫ってみる
意識とは脳から生まれるのか?
意識が脳よりも長らえることができるのか?
神経科学者:ジュリオ・トニーノ
脳には意識が宿っていると考えており
意識を失った状態で脳がどのように変化するかを研究している
彼は実験によって、夢を見ない眠りにおちて意識を失った頭の中を神経学的に調べたところ、脳に刺激を与えるとてもニューロンは周りに刺激を送らない、つまり情報を共有する力が失われていることをつきとめた
これは昏睡状態の患者に意識が存在するかどうかを見極めるために使われることになるであろう有意義な発見であるが、入り組んだニューロンの中でいかにして意識が生まれるかどうかは、未だに謎に包まれている
彼は「意識を生み出すことが出来るのは正しい複雑さであり、大脳皮質がそれを可能にするものだ」考え、
「意識を失えば魂も何もかも失われる。あなたの存在は完全に消えるのである」と主張する
生物学者・工学者:クリストフ・コッホ
神経系を構成する細胞であるニューロンのネットワークの状態が、その人物を作り上げていると考える
ニューロンひとつひとつに意識が宿り、ニューロンが大規模に連携しあい意識が生まれる、そこから魂が生まれ、喜怒哀楽の様々な感情が生まれる
つまり、永遠の魂は存在しない
「脳が機能しなくなり、ニューロンの活動がストップすれば人々が魂と呼んでいるものも存在しなくなる」唯物論(観念や精神、心などの根底には物質があると考え、それを重視する考え方。引用:Wikipedia )を唱える
一方で、全く逆の考え「魂は死んだ瞬間に無くなるものではない」と唱えるのは
インディアナ大学
認知科学者:ダグラス・ホフスタッター
人間の魂とは長年に亘り自分自身を認識し、その結果を繰り返しフィードバックしていく過程で生み出されるものであり、脳の自己認識の産物であり、生物全てに存在すると考える
ある思考パターンは、その人ひとりのものではなく、生きている人も死んでいる人も影響を受けた人たち全員の思考が混ざり合っていると考える
例えば、ショパンの残した楽譜から。彼の喜怒哀楽がそのまま伝わってくる。これはある意味で、永遠の魂として残っている例である
彼はまた、皆既日食を例えに挙げ、月が太陽と完全に重なっても全ての光が消える訳ではなく、コロナの青い輝きが残る。この淡い輝きこそが人間が死んだ後に残るものであると言う
「わたし達の魂の一部は、出会った人々の中で生き続ける。人間性の最も深い部分が肉体よりも長くこの世に留まるのだ」と、
そして「意識とは、脳が様々な情報を組み合わせて思考パターンを作りだすところから生じるものである」と主張する
人々の心以外に魂が存在し続ける場所はあるのか?
ジョージア工科大学
神経工学者:スティーブ・ポッター
生物学と高額を融合させ、生きたニューロンとコンピューターをつなぐアイデアで実験を行っている
彼は、マウスのニューロンを培養し、半分が生き細胞、半分が機会で出来た脳を作ろうとしている
人間の脳のコピーを作ったら、魂も生まれるのか?
培養皿のニューロンは環境から情報を受け取り、複雑な方法でそれに応えていることがわかった。
つまり、培養皿のニューロンは環境を意識しており、人間に近い意識を持つことが可能であると考えている
彼は人間の意識の完全なコピーを目指している
しかし、科学技術が意識や魂の謎を解明するまでにはまだ長い道のりがある
最後に
魂は存在するのか?意識はどこから来てどこに行くのか?が焦点となっており
多くの生物学者や物理学者、科学者がそれらについて研究しているが、生きている間に「死後の世界はあるのか」を知るというのは難しい、という結論に至っている
「誰もが人生の終わりにその真実を知るでしょう」
死が人間の理解が及ばぬ世界だとしたら、必要なのは「何を信じるか」
ということなのかもしれない
とモーガン・フリーマンは締めくくっていました
「お盆」という時期に、お子さんと話しをしてみるのもいいですね
この課題は、わたし達生きている人間にとって永遠の謎に思われます
正しい答えは誰も知らない訳ですから、子供に聞かれても正しい答えを教えることはできません
でも、子供達は「何で生まれてきたのか?」「何のために生きてるのか?」という疑問にぶつかる時が必ずあると思います
まだ自身の思想がはっきりとする前、ちょうど思春期の頃に、その疑問が特に大きくなるような気がします
いじめや自殺を防止するために、命の尊さについてはある程度学校でも話し合われるようになりました
でも「人は死んだらどうなるのか?」については、宗教的な思想の色合いも濃く、一般の学校では取り上げませんので、家庭でしか話題に出来ないことなのかもしれません
このような話題を掘り下げてお家で話してみることで『生きること』も意識してくれるような気がします
そして、世界に目を向けて視野を広げるのと同じく、世界中には様々なものの考え方、捉え方があるということを話し合うことができれば、短絡的な考えには及ばないようにも感じます
「お盆にはご先祖の魂が帰ってくる」という日本の伝統的な考えが、とても大きくて温かい愛に満ちているように思えませんか?